ネットワーク設計や更改案件でよく出てくる「LAG(Link Aggregation Group)」。
名前だけ聞くと難しそうですが、中身はとてもシンプルです。
LAGとは、複数の物理ポートをまとめて1つの論理ポートとして使う技術です。
目的は大きく2つあります!
1つ目は「帯域を増やすこと」=通信速度をあげること!
2つ目は「冗長化すること」=障害に強くすること!
です。
■ LAGをトラックの配送で理解しよう!
LAGは「荷物を運ぶトラックを複数台まとめて使う」イメージをしてみましょう!
トラック1台だけだと積める荷物は限られます。でも4台あれば、多くの荷物を同時に運べますよね。さらに、1台が故障しても残りの3台で運び続けられます。
これがLAGの基本的な考え方です。
ただし重要なのは、大きな1つの荷物は1台のトラックにしか積めないという点です。
ネットワークでも同じで、1つの通信(セッション)は基本的に1本のケーブルしか使いません。複数の通信があるときに初めて分散されます。
そのため「4本束ねたら常に4倍速くなる」という理解は誤りです。
トラフィック(通信量)が多い環境でこそ効果を発揮します。
スタティックLAGとは
スタティックLAGは、機器同士で「このポートとこのポートを束ねる」と手動で決める方式です。
トラックのたとえで言えば、
「明日からこの4台を同じ配送チームにする」と書類上で決めただけの状態です。
当日、
・相手側は3台しか準備していない
・1台は別業務に回っている
・仕様が微妙に違う
それでも配送はスタートしてしまいます。
つまり、条件が合っているかを確認しないのがスタティックLAGです。
メリット
- 設定がシンプル
- 対応機器が多い
デメリット
- 設定ミスに気づきにくい
- 片側だけ設定違いでもリンクが上がることがある
- 通信不安定の原因になりやすい
現場では「リンクはUPしているのにパケットロス」という事象が発生することがあります。
これがスタティックLAGの怖いところです。
ダイナミックLAG(LACP)とは
ダイナミックLAGは、LACP(Link Aggregation Control Protocol)という仕組みを使います。
トラックの例で言えば、
出発前に点呼を行う配送チームです。
・4台そろっているか
・仕様が合っているか
・このチームで動いてよいか
確認してから配送を開始します。
さらに、途中で1台が故障した場合も、自動的に再編成します。
メリット
- 設定ミスを検知できる
- 安定性が高い
- 障害時に自動調整される
デメリット
- 両機器がLACP対応である必要がある
- 設定項目がやや増える
現在の現場では、基本的にLACPを使用する構成が推奨されることが多いです。
運用で意識すべきポイント
LAGは便利ですが、設計と運用を誤るとトラブルの原因になります。
特に重要なのは次の3点です。
- 両側の設定をそろえる
- 導入後に片系断試験を行う
- メンバーポート単位でも監視する
また、異なるメーカー間接続では挙動差が出る場合があります。
ハッシュ方式や最大本数などは機種依存です。
「仕様上は可能」でも、実際の動作確認は必須です。
まとめ
LAGは、
・複数回線をまとめて帯域を増やす
・回線障害時でも止まりにくくする
ための技術です。
スタティックLAGは「確認せずに束ねる方式」。
LACPは「確認しながら束ねる方式」。
新人エンジニアであれば、まずはこの違いを理解することが重要です。
そして覚えておくべき実務上の原則はシンプルです。
迷ったらLACPを使う。
必ず障害試験をする。
リンクUpを信用しすぎない。
この3つを押さえておけば、LAGは怖い技術ではありません。
複雑に見えても、本質は「トラックを何台で運ぶか」という話です。
仕組みを理解すれば、設計もトラブルシュートもぐっと楽になります。